11日め「台風の目」

8月9日、11日めは「台風の目」です。ちょうど台風11号が九州接近中という、タイムリーな作品。


前日、くるみちゃんに格子の絵を描いてくれたお友達の和久井さんは、「もっといて」というみんなの声を振り切って、台風が近づく中、北日本のご自宅に向けて帰ってゆきました。

テレビでは「強い台風」だの「警戒してください」だの「早めの避難」、「交通機関に影響」、「帰省客に混乱」…と、“ちょっと美術館へ”なんて気分にならないような報道を繰り返していました。

そんな中で、準備。

目です。

その横で、スタッフは脚立の上。

雨の中、衣装の下半分は白タイツでやろうかというくるみちゃん。雨で透ける上に白タイツでは…と全員で思いとどまらせました。木工から裁縫まで、制作物ならなんでも得意な某スタッフが即!作った、白のかぼちゃパンツ。ミシンであっという間でした。

さあ、始まります。

「台風、いきまーす! うあーーー」


ひっかかってる。

「えーいっ!」「うああーーー」「ひっかかりますねー!」「あー、うまくいかなーい!」「でも、台風ですもんね!台風だから、グチャグチャでもいいか!」…などと、大きな声でワアワア言うものだから、はじめは横目で見ていたお客さんも、だんだん縁側にじりじりと集まって下さいました。

それを見逃さないくるみちゃん、「みなさーん、台風の勢力が弱まりそうでーす!ぜひ応援してくださーい!」と走ったり転んだりしながら、呼びかけます。

「くるみちゃーん、がんばってー!」

呼びかけられたことで、声を出しやすくなったようです。

「あ~、布が足りないな~」

「みなさーん、この台風、思ったより勢力が強くならないので、よかったら、こっちにおりてきて、手伝ってもらえませんかー!?」

えっ…雨、降ってますけど…。

「よかったらー、靴を履いて、出てきてくださーい!」

声かけるだけ、ってわけじゃないんだ…。本気で言ってるらしい…。

「なになに、どうすんの~? こりゃ、こうやって前にたらせば、フンドシになるなあ~」
真っ先に出てきてくれた、おじさん。ありがとうございます。かなり参加ムードを作って下さいました。感謝。

みなさん、少なめの巻きの布を渡されて、くるみちゃんの周りに円に置いて下さってます。

午前中、発生した台風は、しばらくそのまま放置され、お昼ごはんだの休憩だのをはさんで、午後になって台風が勢力を弱め、消滅する、という動きとなりました。

台風の衰えとともに、渦巻き状の雲がだんだん小さくなっていきます。

雨でグッショリ濡れた白布を、這いつくばって、手で集めていきます。

サービス精神旺盛というか、期待されるとそれに応えたいという欲求の強いくるみちゃん(たぶん)。カメラを構えていると、その時こちらが待っているようなアクションを見せてくれることが、よくあります。

たとえば、この写真。

ああ、写真のために、ちょっと表情を“盛って”くれてる(大げさにしてくれてる)んだな、と思いながら、何枚も撮っていました。


このへんも、てっきりそうかと。

中心に集めて終わりでなく、転がして端に押して行こうとするので、「どこまで持っていくの」と聞くと、「見えないところまでですぅぅぅ~」と言います。

やっぱり、演技だからまだ力が余ってて、できるんだな、と。そう思ってました。


「よいしょ、よいしょ」
子どもに背中を押されたりして。


「ハアハア」


「ハアハア」


とうとう、敷地の外まで。


「台風、消滅しました~」

道端に置いてたら、車も通るし危ないと、みんなで片付けようと、四人がかりでひっぱりあげようとしました。

「えっ!ぉおもっ!」
「何、この岩みたいな重さ!」
「全然動かん!」
「くるみちゃん、よくこんなの、ここまで動かしたね!」

「てっきり、写真用の演技かと思ってた」と白状すると、「そんな余裕ないですよ~」とハアハアしてました。

とりあえず、布を片付けた後、ふと子どもの傘を目に留め。

「その傘、レインボー?いいね! ね、ちょっとだけ、貸して!」

「台風は、去りました~」
虹をつれて、走り去っていきました。

お疲れさまでした!

この日の「台風の目」くるみちゃん本人の反省日記

美術館の更新情報を受け取る