「日常の美 坂本善三のまなざし」スタート

6月3日(金)から、「日常の美 坂本善三のまなざし」が始まりました。

9月4日(日)までの開催です。どうぞお出かけください。

以下、展示目録より
「私たちと同じ世界を生きている画家たちの目には、世界はどんなふうに映っているのでしょう。
小国に生まれ育った坂本善三は、時代こそ違えども、今小国に生きている私たちと同じ空気の中でものを見、感じていたはずです。その画家のまなざしを、作品とともにたどってみたいと思います。
 まずは、そのまなざしがよく表れた静物画や風景画、人物画など、いわゆる具象と呼ばれる作品を見てみましょう。静物画では、「シャンデリアは描かない」と言っていたように、豪華絢爛なものではなく、質素な日常の中で人々に寄り添うように存在しているものが描かれます。画面の茶碗や干物や野菜は、いかにも無骨に、ずっしりとした重量をもって描かれており、その重さこそに、上っ面だけでない、生活と芸術を結びつける坂本善三の思想が表れているように思います。
坂本善三は、あるときこんな風に書いています。
「わたしたち日本人の生活の中にある、さりげないもの、ひょいとしたこと、そんな平凡なものに発想してわたしのフォルムを追及している。」
私たちの生きる日常は、取り立てて語るほどの出来事が連続するわけではなく、取るに足りない平凡な出来事の積み重ねでできています。でもその中にこそ、本当に目を注ぐべき大切なものはあるのだという世界に向き合う姿勢が、この言葉に表れています。
日常の生活の道具や身近な阿蘇の風景を繰り返し描いた坂本善三は、むしろ禁欲的とも言えるほど身近なものに意識を集中させています。そのまなざしはそこに何を見ていたのか。初期の具象作品を中心に、日常のまなざしの積み重ねの末に生まれてきた抽象作品まで幅広く展示し、平凡でも、いや平凡だからこそ、かけがえのない毎日へ、新たなまなざしを注ぐきっかけになればと思います。」

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