あらためて、初日「ふりだしに戻る」

7月29日(火)、アートの風vol.4「若木くるみの制作道場2014」が始まりました。
はじめに少し、この展覧会についてのこれまでの経緯を。
昨年も、若木くるみさんはこの時期ここでアートの風vol.3「若木くるみの制作道場」という展覧会をやっていました。
〝アートの風〟シリーズで2年続けて同じ作家を招くのは異例のことです。昨年の制作道場の評判があまりによかったので、例のないことだけど、また今年も…ということになりました。

この制作道場は、「会期の30日間、30作品を発表する」ことになっています。どんなに手間のかかった作品も、1日限り。作る作家も、サポートする美術館学芸員も、休む暇もありません(スタッフはちょっと休ませてもらいました)。すごく大変だったけど、でもすごく楽しかった!
最後、会期が残り少なくなっていくのが、惜しくてさみしくて、たまりませんでした。
そして昨年最終日、くるみちゃんは美術館の庭を前の顔が前に走る、後ろの顔(※)が前に走る、という作品で締めくくりました(※くるみちゃんは、後頭部に顔を描く作品が代表作です)。朝9時から夕方5時まで走りっぱなしです。20メートルを830往復、前向きに後ろ向きに、約33キロを走りました。ゴールの時には感動感動で、もうこれ以上はない、と思ってました。

…しかし、その後、異例の2年目の実施が決まりました。
初日は何をするのか??
くるみちゃんもずいぶん考えて悩んで、結局、昨年の30日め、最終日の内容を〝巻き戻す〟ことになりました。昨年の感動をリセットしよう、ということのようです。そこのところは、くるみちゃんの反省日記
830往復でつけたホワイトボードにつけたしるし、それを(再現したものを)消していく作業です。しるしのついたホワイトボードが、最後は白紙になるというもの。「ふりだしに戻る」。これが、2年目の初日です。

後頭部を剃って、顔を描いています。昨年まではほかの人に描いてもらっていましたが、昨年秋以降、必要に迫られて自分で描く技を身につけ、描けるようになっていました。


黙々と、時には取材を受けながら走り続けました。朝9時から。

2時すぎ。この時点で半分以上のしるしが消えています。

この時期ですから、熱中症対策に水分、塩分、水気のある果物など。

昨年の常連さんが、新しく家族に加わった赤ちゃんを連れて会いに来てくれました。取材で走りやめなかったくるみちゃんも、このときは立ち止まりました。

だんだん、砂利がはじき飛ばされて、道もできました。

「くるみちゃん、がんばってー…、って、いおうか」「うん、いいよ」と相談中の子どもたち。この後、声援を送ってくれました。

4時40分ごろ。なんだか雲行きがあやしく…


とうとう雨が降りはじめました。

そして、雷つきの土砂降り。
昨年は、朝から雨で、途中雷雨になり、4時すぎに光が射してピッカピカの晴れになりました。…天気まで巻き戻して再現している!

昨年と同じ、Sさんに時計を持ってもらいました。あと3分!

「くるみちゃん、ラスト!」「はいーーー!」

「…」

「…」

「ありがとうございましたー!」
後ろ向きの頭を下げると、こうなります。

雨の中、ちょっとストレッチ。

くるみちゃんの道が、川になりました。


「制作道場 今年も!!」
実は、830ラン後も時間があったので、また一筆ずつ(時々うっかり一文字書いたりしつつ)、走りながらメッセージをボードに書いてくれました。去年はここで「ありがとう」と書かれてしまい、全員おいおい泣いたりしました。

「日焼けした~」

ゴール後、空が明るくなりました。
まるでくるみちゃんのクライマックスに合わせて雨を降らせてくれたみたいでした。
翌日は、また違う作品です。
7月29日「ふりだしに戻る」のくるみちゃん本人の反省日記
若木くるみの制作道場2014のサイト(反省日記とツイッター入口があります)
昨年2013年の、制作道場サイト
 

美術館の更新情報を受け取る