制作道場26日め、円

制作道場26日め、8月28日は「円」です。
布に、お札を描いています。色味といい、字体といい、まるで本物のように見えますが、ちゃんとニセモノです。


この日のくるみちゃんは、お札になっていました。
「115円札」。
なぜ115円かというと、

50円2枚、10円、5円各1枚で顔を作って、115円です。
スタッフは前日から、「昭和60年のコイン」探しに追われました。ほしいのは、10円玉1枚、50円玉2枚、5円玉1枚。くるみちゃんの生まれた年のコインを使いたい、ということで昭和60年です。
美術館じゅうのコインをチェックしましたが、ない。昭和60年だけが、ない。その日帰って家にあるコインまで調べて、10円玉と5円玉はなんとか見つかりましたが、当日朝になっても50円玉が、ない。

「くじをしよう」と、スタッフの銀行カードをかきあつめ、ATMがあく9時に銀行で両替しました。いまどきの両替は銀行カードがないと有料なんですよね。そして、一枚のカードで50円玉は一本しか両替できない。4枚のカードで50円の包み4本、200枚。これで勝負!…と、カードの持ち主みんなで探したけど…。
結局、ありませんでした。しかたなく、50円玉は他の年号のもので代用しました。

後ろ頭の顔の鼻になっている10円玉に紙をあて、お客様に鉛筆でこすって写し取ってもらいます。
それを「10円札」として、この日に限り、美術館内のミュージアムショップで10円としてつかってもらえるようにしました。

「10円札使えます」旗。若木くるみ作。

これが10円札です。こすりとった10円の横にチロルのチョコレートの版を押します。10円の価値といえばチロルチョコ、というわけで、この版は当日の朝、くるみちゃんが彫ったものです。

この版は、美術館にあった粘土板です。くるみちゃんは美大の版画専攻卒なのです。あっという間に彫りました。押した判がかわいい!ともりあがるお客さんに「今朝、本人が掘ったものですよ」とこの版を見せると、「こんなに薄い、こういうものに彫れるものなんですね」とビックリしてました。
この日は他にも「こんなもので、こんなことが!」とお客さんをビックリさせたものがありました。
「10円玉のここをこすって…」
「へえー、おもしろいですねー」
お札の横に置いて見せていたので、本人がお札から出てきて説明しています。

10円玉をよーく見ると、真ん中にリボンを結んだ草の冠のようなものがあります。
そこだけをこすりとって…

その中に顔を描いています。
今回の、「若木くるみの制作道場」ポスターの後ろ頭の顔を描いたようです。柔道着を着てますね。

そして、10円玉のもう片面には、平等院鳳凰堂。くるみちゃんは、これが「坂本善三美術館のようだ」と、美術館に見立てて、ポスターのように配置し、自分も描きこみました。

ポスターに使った写真です ↓

さて、この日は細かいところに結構時間がかかってます。
朝のヘアメイク風景です。
「野口英世」ならぬ「五口英世」(口が五円玉なので)になるため、髪の毛をそれっぽく作ってます。

髪の“盛り”にご注目ください。

本人の顔を10円玉にするため、顔に「昭和60年 10」と書いています。

頭のリボンとみつあみは、10円玉を模したものです。

ご覧いただき、ありがとうございました。

「若木くるみの制作道場 制作反省日記」ブログ(くるみちゃん目線)
http://sakamotozenzo-events.hatenablog.com/
若木くるみの制作道場ツイッター
https://twitter.com/zenzo_sakamoto
 

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