18日め「中学生ワークショップ4 うらの顔」

8月17日、18日めは、中学生ワークショップ「うらの顔」4回めです。

中学生は善三作品を鑑賞した後、くるみ先生とワークショップです。

前回のワークショップからお盆期間をはさんで時間が空いてしまいました。すんなり入れるかな?と思っていたら、朝のうちに一組いらっしゃったお客様が熱心にうしろの顔描きに取り組んでくださり、気持ちがあったまった感がありました。

よかった、これで中学生もすんなり…と思っていたら…。

なんだか、特に冷めてるわけでもないのだけど、平熱なのに反応がないというか。石を投げても木をなげこんでも、波も立たずに凪いだままという雰囲気でした。
これはどうしたものか、と案じながらカメラで撮影をしていました。


この頃は、まだまだ全然。

くるみちゃんの実演の後、本日参加の6人を2人ずつ3回にわけて、合わせ鏡でうしろの顔を描いてもらうことにしました。
まず、6人中女の子は2人だったので、その子たちから。


「みんな、応援してあげて!もっと右!とか、もっと上!とか」と、くるみちゃん。

まだ、凪いでいました。
気をつかってくれてるのであろう、進行に協力的な男子が一人、手を叩いたり、発言したりしてくれていました。(ありがたかったです)
女子2人が終わって、男子スタート。

ここからでした。
女の子2人には、ほとんど何のツッコミも入れることのできなかった男子4人でしたが、男の子2人になら、入れられるようでした。思春期!(後で思えば、そりゃそうかと思うけれど)
そして、女の子なら、そこらへん大人というか、男の子みたいに子どもじゃないので、上手に声もかけられるという…。



描く子も、だんだん熱中してきて、さっきまでの取りかかりの遅さが嘘みたいに、よく見て、がんばって描いてくれました。


「あっ、見えにくいね!わかるわかる! たぶん、こうすると見えるんじゃないかな!」くるみちゃんも、いい雰囲気になった空気を逃すまいと一生懸命。


じゃあ次、最後の2人!



「ちがうって!」

「どこが、目~? わからん~」

「う~ん…」思わず乗り出して…

「こっち、こっち」
見てる子も、ついつい身を乗り出してアドバイスしてます。もう、ウズウズして、黙ってられない感じ。見てるほうも自分がしてるみたいに一生懸命です。

「ああ、そこ、そこ~」
くるみちゃんが、「みんな、よく見えるところに行って、描いてる人を見て」と言うけれど、こんなにヒートアップして近寄るケースは、初めてかも。

見てる見てる…



「二人とも、左から風が吹いてるみたいな顔になってて、いいよ~、とってもいい!」

「どんな?」

「いいやん、これ~」
「ぎゃはは~」

「おれなんか、こんなの」

「みんな、どうでしたか?」

顔を集めます。

「おつかれさまでした~」
以上、中学生4回目はおしまい。
「いやー、今日はどうなるかと思ったね。くるみちゃんの声かけで、よくなったね」
…というくらい、途中からぐんぐん場の雰囲気が急上昇でよくなりました。
中学生ワークショップの午後は、お客様がうしろの顔にチャレンジします。


お上手!

学芸員山下も、実はこれが初チャレンジ。

そして、このおねえさん!

某美術館の学芸員さんです。
「底意地の悪そうな顔」
「まさに〝裏の顔〟って感じ」
たまたま居合わせたお知り合いの、親しみもこもったするどい感想が飛びます。

「あれ?あれ?」
おねえさん、しばらく頭のてっぺんとか、横の髪の毛などにペン先が行ったりして、なかなか進みません。

「うんと…」

横ではほかのお客様もどんどんチャレンジ。

おねえさん、みんなに見守られて、がんばってます!

結局、ものすごくがんばって、最初紙のはしっこでウロウロしていた線からじわじわと展開して、最後はちゃんと顔としての体裁の整ったうらの顔ができあがりました。

はじめは左の目のあたりをずっと点、点、苦心してペンを置いてました。
隣の人が入れ替わってもがんばってる姿は、だんだんみんなの胸を打ってきて、「こんなにあきらめずに頑張る姿を、中学生たちに見せたいね!」とスタッフ一同大きくうなずきました。おねえさん、ありがとうございました。
そして、最後の最後に!

お父さんに連れられた男の子が、はじめなかなかペンを持ってくれなかったのだけど、描き始めたら、これが…。

すごく集中して、ひとつひとつ、丁寧に見て、丁寧にペンを動かして、何度も何度も鏡を持ち替えて、描いてくれました。

いい!!!

「描いたよ」
ちょっと忘れ物を取りに出ていたお父さんに、描いた顔を披露します。

「おお!すごい! 写真撮ろう、写真!」
その後、お父さんと男の子の横で、くるみちゃんや学芸員山下、スタッフと絵を囲んで、「いいよね~」「いい~」「繊細で深い」「思慮深いというか…」と、さんざん褒めちぎりました。
おねえさんといい、この男の子といい、進みは遅くても、じっくりゆっくり丁寧に仕上げてすばらしい顔を描いてくれました。それを見て、くるみちゃんも思うところがあったようです。いつもワークショップの終了時間があるから、つい途中急がせてしまうことを残念に感じたようです。
ワークショップは、残りあと2回です。
うらの顔を描く回は、比較的お客様とくるみちゃんとのコミュニケーションも濃くなります。
この日のくるみちゃん本人の反省日記はこちら
 

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