蓬莱保育園のみんなの絵

5月9日にオープンした町民ギャラリーもはや1ヶ月が経ちました。
現在の展示は、オープン記念展の「蓬莱保育園のみんなの絵」です。美術館のすぐ近所にある保育園の、年少・年中・年長組のみなさんが美術館に来て描いた絵を展示しています。蓬莱保育園の子どもたちの作品
子どもたちの絵は、特に保育園児の絵には、少しも作為がなく、色を混ぜること、線を引くことだけを楽しみ、集中して描かれています。その画面は、ただ気持ちよく、明るく、力いっぱいで、嫌な「気」が少しもない。
この気持ちよさはなんだろう。
そう思ったとき、はっと気がついたことがありました。
善三先生の抽象に引かれている線と同じではないだろうか。
善三先生の絵をみて、「これはうちの子でも描ける」とか「うちの子が描いたみたいだ」などといわれることがよくあります。しかし本来、子どもの絵コンクールなどですぐに見抜かれるように、大人が描いた作為タップリの線というのは、すぐにわかるものです。大人の作為を乗り越えて、無心の精神状態を作り出し、子どものように、その一本の線に集中することができる人のことを、本当の芸術家というのではないか。
善三先生がかねがね言っていた(絵に)「見せ場を作らない」と言っていたことの意味を、子どもたちの絵を見て教えられたような思いがしました。
ぜひ、みなさんも町民ギャラリーのすばらしい保育園児の絵と、展示室の善三先生の線と、じっくりと比べていただきたいと思います。

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