この夏の一押し 「若木くるみの制作道場」(7/30-9/1)
いよいよ夏休みに突入。
みなさんこの夏はいかがお過ごしの予定ですか?
坂本善三美術館では、この夏、ぜひ見ていただきたい展覧会があります。
シリーズアートの風vol.3「若木くるみの制作道場」(7/30-9/1)です。
シリーズアートの風では、人々と美術館をつなぐ新しい風となってくれるような若い作家を紹介しています。
第1回目は藤原雅哉さん、第2回目はワタリドリ計画、そして第3回目は若木くるみさん。
若木くるみさんは、1985年北海道生まれ京都在住の作家で、2009年に第12回岡本太郎現代芸術賞で岡本太郎賞を受賞して一躍注目を集めて以来、国内外で活躍しています。
今回は「若木くるみの制作道場」と題し、毎日1つの作品プランを提案・制作します。
30日間30作品。
毎日違う制作です。
インスタレーションあり、パフォーマンスあり、版画あり。
はたしてどんなことになるのでしょう。
毎日1プラン提案できるのだろうか。
果たしてそのプランは成功するのだろうか。
ああ、なんだかドキドキする。
ところで坂本善三はいつも、画面上に作為が現れないようにすることに心を砕いていたといいます。
非常に計算していながらも、最後は心を無にして、おのずと生まれてきたかのような形が現れてくる。
その、「頭で考えないで、心を無にする」ということができるのが真の芸術家だと思うのですが、実は、若木くるみのこの「ハラハラドキドキプラン」も、善三先生の「心を無にする」と共通しているのではないかと私は思っています。
「こうすればああいう反応なのじゃないか?」
「これだったらおもしろいんじゃないか?」
「小国だったらこれだろう」
というような、計画的な、先を狙ったプランを立てる閑もないくらいに自分を毎日追い込んで、追い込んで追い込んで追い込んだ先の、自分を超えたところから生まれてくる「何か」に出会いたい。
若木くるみのこの「無謀」な展覧会は、そんな意図の下にあるのです。
そして若木は、「自分はきっとそこにたどり着けるに違いない」というおおらかで強靭な(あるいは無自覚の)自信を足場にし、「わたしたちは自分の枠を超えたところにある果てしなく広い世界とつながっているんだ」という確信に満ちた希望をわれわれに教えてくれます。
それも、がむしゃらなおかしみで私たちをなぎ倒しながら。
どうですか。
見てみたくなりませんか。立ち会ってみたくなりませんか。
七転八倒しながら見せてくれる希望の地平を、この夏ぜひご一緒に。
(山下弘子)