若木くるみワークショップを開催しました

この週末は美術家/版画家の若木くるみさんによる2つのワークショップを開催しました。

1日目はプロダクツで作る善三展の関連イベントとして行った「善三版画」。

身近な物を素材にして、版画で善三作品を表現するという内容です。

最初に展示室で作品を1点選び、じっくり観察。その記憶だけを頼りに(写真なども見ない)、版画でその絵をまねして描きます。

版画といっても、今回は木版画のように版木を彫ったりするのではなく、木の幹や、ざる、布、金属パーツなど、身近にある様々なものの凹凸を刷りとる方法をとりました。刷りとってみると思いがけない模様があらわれるのはおもしろいものの、ねらった通りの絵に仕上げるのは難しい。大人たちがインクで手を真っ黒にしながら熱中し、あっという間に時間が過ぎました。
最後に完成作品を展示室で並べて発表タイム。それぞれの着眼点の違い、絵の解釈の違いが現れていいて、どの作品もとても魅力的でした。
自ら描くのではなく物の凹凸を利用するという不自由さや、記憶を頼りにすることで、より深くその人の絵の見方があらわになったのではないでしょうか。
版画は物に直接描くのではなく、描いた絵を版などに移して描く「間接技法」です。若木くるみさんは、版画のこうした特性を押し広げ、自らの身体をも媒体にした作品を作っています。
参加者のお一人が、今回のワークショップは自分の体を媒介にした版画でもあったのかもしれないと、鋭い発見をして下さいました。

2日目は小さなお子さんと大人で楽しめる「ファミリー教室」。

当初は庭の芝生で等身大の版画を作る「千手観音ちゃん」を予定していましたが、あいにくの雨のため、あえてこの天気を活かして「雨版画」なるものを試みました。

「雨版画」とは若木くるみ流の「版画」技法で、水彩色鉛筆で描いた絵を雨にあてることでにじませ仕上げるというもの。

紙の上で跳ねたり滲んだりする雨粒が絵を変化させていきます。子どもたちはその様子を見ながらどんどん新たな技を編み出していました。

最後は大きな布にみんなで寄せ書きし、1枚の雨版画を作りました。

真剣に楽しむ子どもたちの姿をたくさん見ることができ、見ているこちらもうれしくなりました。

 

ワークショップに参加してくれたみなさん、ありがとうございました!

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