15日め「ソロボウラー」
15日め、8月14日の作品は「ソロボウラー」です。
くるみちゃんが一人で投げる人、ボール、ピンの三役をやる、というので、「ソロ」。前日13日、「耳なし芳二」をやってるのを横目に、必要な大道具を作りました。湿度が高くて、日差しも重くて、なるべく日陰に日陰にと引き込んでの作業でした。
くるみちゃんの等身大のボウリングのピンを作ってます。段ボールを切って、片面に白いペンキで塗りました。
ここまでが前日。
ここから、当日です。
衣装を、後ろ半身はピン、前半身はプロボウラーとして切り替えたい、白黒にしたいといって、白い服の前半身をスプレーで黒く色をつけています。衣装はこれで出来あがり。
次に、ピンに赤絵の具でラインを引きます。
↓くるみちゃんの仕業。流血。
「あーあー、もう」
修正。
ピンの絵の具を乾かしています。
連日、スッキリしない曇天です。雨もパラパラ降ることが多く、夏らしくない夏です。この日も、いつ降るか、もう降るか、という天気でした。
「せっかく倒すんだから、裏に“押し倒したい芸能人”描こうかなあ」と、キレイな女優さんを描くことに没頭しはじめました。
「くるみちゃん…あんまり丁寧にやってたら、終わらないよ。雨も降りそうだし…(降らないうちに写真撮ったりしたいし)」学芸員山下からチクリ。
ピンを立てます。砂利を払って土の地面を出して、そこに釘で打ちつけます。
立ちました。
後ろから見ると、こう。今を彩る女優さんたちが描かれています。何度確認しても、どの顔が綾瀬はるかでどの顔が沢尻エリカなのか、言い当てることができません。
いよいよ、ボウリングスタートします。
「いきまーす!っっせーのっ!」
プロボウラーが、投げました!
次は、ボールになって転がります!
なだらかな坂になってますが、ボールはその坂をなぜか転げのぼります。
最後はピンの一本になって、
ガッシャーン!!
ストライクにはほど遠かった!
もう一度、スペア狙いで、坂をのぼる!
一本残りました~~!
「残ったけど、やったーーー!」
やんや、やんや。
「ありがとうございます~」
「えへへ~、こんなに応援してもらって、うれしい~。みんな、やさしーい」
また、立てないと。
「よーーし、もういっかあぁーーい!」
「ふんあーー!」
「いてーーっ!」
あんまり、倒れてないけど。
みなさん、縁側にぐいぐい近寄ってのぞいてくださって、大きな拍手も頂きました。
もう、2回も前転して短くもない坂道をのぼってフラフラなんだけど、お客さんの期待を込めた目がくるみちゃんを突き動かすらしく、「もう一回、やろっかな…待ってますよね、お客さん…」と、さらに続投。
「ふんーーっ!」
「ハアハア、」
どてーっ
「おおーーッ!」
「ありがとうございました~」
パチパチパチ~(拍手)
「ちょ、ちょっと、お色直ししてきまーす」
事務所の床に、どたり。
軽い脳震盪状態のようでした。
しかも、黒いスプレーをふった衣装で、その匂いもあって、フラフラでした。
その後、恩人が訪ねてきてくれたりして。
午後です。
もう、ピンもへなへなです。
段ボールですから。
さらに杭を裏にあてがったりしましたが、それも限界。
そこで、スタッフ人力で支えることに。
ゴロゴロ
ゴロゴロ、
本当は、支えてるだけのつもりでしたが、くるみちゃんが向こうからゴロゴロ転がってきてるとき、山下さんが鋭く「私たち、ピンだから」と言いました。そうか、ピンか…。
ドッカーン!!
作品のために、身を投げ出しました。
思いのほか、おもしろかったのでもう一度。
ゴロゴロゴロ…
「えーーーーいっ!」
スタッフの他に、美術館の型染め講座の先生もピン役になって下さってます。
ドッカーーン!
「ストラ――――イク!!」
「やったーーーー!」
このあと、この様子を隣の神社の境内から撮影されたお客様を目ざとく見つけ、ぜひ写真がほしいと懇願して、ありがたくデータをちょうだいしました。その写真は、くるみちゃんの反省日記をごらんください。
とにかく、楽しい作品でした。
おしまいです。撤収。
おつかれさまでした。
背中が、草色に染まってました。
くるみちゃん本人の「ソロボウラー」反省日記
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