26日め「ナイキのシュッ」

8月27日、26日めの作品は「ナイキのシュッ」です。
「私の耳、シュッとしてるんです」と少し前から言ってました。それが、とうとうこの日、作品になりました。

自分が大きな靴の中に入って走りたい、自分の耳がナイキのロゴに使えるはず、…などと言って、学芸員山下や、美術館スタッフの“造形チーフ”を悩ませてました。
当初、「ゴムボートならいけるのでは」と、町内のホームセンターに問い合わせましたが、扱ってなかったり(小国は山だし)、もう時期的に置いてません、だったりして頓挫。「町内で調達できるもので、やる」という制作道場の取り決めがあるので、ないものは使えません。
その後「子供用のビニールプールを使えば、なんとかできるのでは」という目処だけつけて、実施日を決めてしまったので、もうやるしかありませんでした。

造形チーフのひらめき、ねばり、根気と、美術のS先生のヘルプに支えられて、なんとか子供用プールがナイキシューズに!しかも、くるみちゃんが持って走れるほどのサイズと軽さで。さらに、見かけもかなり“シューズっぽい”。もう、このシューズができた時点で、この日の作品は8割方終わったと言ってもいいのではないか…とハタで見ていて感じました。

くるみちゃんが線や色をつけると、ますますシューズっぽさが増してきました。もうこれで、9割方!(私見)

前髪横の髪の毛を三つ編みにして、ひものように穴から出して、結びたい!と、またおかしなことを思いついて、結んでもらっているところです。

髪の結び目見えますか。
来館していた子どもさん連れのご家族に「今日は靴になりますよ」と説明していたら、ひととおり館内をご覧になった後に「いつ、靴になりますか?」と聞かれました。「まもなく!」と答え、くるみちゃんに「お子さん連れのお客さんが、靴になるの待ってるよ」と伝えてみんなで作業を急ぎ、なんとかできました!

直後、庭を一周走ったら、もうほぼ10割方、でした。もう、やっと準備して終わった祭りの後みたいでした。お神輿を飾り立てて飾り立てて、たった一回走って祭りが終わったような…。

そのあとも、何度も走りました。






最後には昨年から通って下さってる方数名になり、くるみちゃんが「靴に入ってみたいですか?」と“ナイキの試着”をおすすめして、みんなで試着&試走しました。

それが、思いのほかおもしろく。

走りにも“人”が出るものだなあ、という感じでした。

顔だけ靴のくるみちゃんと並んで走って、お互いが右足左足になり、右足が前に出て、次は左足が前に出て、を繰り返して“走ってる足”を表現したりして。
後日、くるみちゃんのこういう作品のことを「パフォーマンスやなくて、ワークショップって言った方が近いんじゃないかな」と言った人がいました。確かに、くるみちゃんはほとんどの作品を、まわりにいるお客さんと会話しながら、時には巻き込んで、必要だったりおもしろいと思えば、どんどんアレンジしていきます。いつの間にか、お客さんはただ見てるだけでなく、くるみちゃんの協力者になってしまうのです。
後日の話ですが。4日前にいらしたお客様が、再来されました。「また来て下さったんですね」と話しかけると、「はい。あの日、 その場ではそんなに思わなかったんですけど、後になってから、“なんか、すごいおもしろかったよね”と、ジワジワきたんです。それで、やっぱりまた行きたいなと思って」とのことでした。その日もやはり、お客様のアクションが必要な作品でした。
うれしかったです!
この日のくるみちゃん本人による反省日記

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