美術浴!!報告

2015年10月25日、「坂本善三美術館開館20周年感謝祭 善三二○劇団 美術浴」が開催されました。

美術浴のチラシです。

このチラシを見た小国の子どもの多くが「え、はだかでなんかすると?」(裸で何かするんですか?)と聞いてきました。
チラシは、小学校で配布してもらいましたから、地元の子どもの目にしっかり触れているのです。

(拡大)
今年6月から、坂本善三美術館の「開館20周年感謝祭」という展覧会を、作家4組と毎月1組ずつ展開してきました(若木くるみ、藤原雅哉、ワタリドリ計画、岡山直之)。この「美術浴」が4組の作家が全員集合して作る、集大成の展覧会です。「美術をたっぷり浴びてもらう小屋で、作家が指名を受けて自分の作品を発表する」というものです。
<半年前>

約半年前の打ち合わせ風景です。

小国ではおなじみの作家のみなさんですが、みんな住んでいるところはバラバラなのです。この段階で決められることはほぼすべて決めました。
<2日前、10月23日>

数日前、藤原さんが小屋を建ててくれました。
その小屋に美術館スタッフがペンキを一回塗って、さらに上からもう一回。2度塗りします。

まるで前からあった小屋のように、美術館の建物と一体化して見えます。

ワタリドリ計画(麻生知子、武内明子)とくるみちゃんが美術館に到着しました。小屋を、建物側からチェックしてます。
この後、小屋内側に暗幕を吊るしたり、小屋の中のお客さんとの仕切りをどうするかなど詰めながら準備していきました。
<当日、10月25日>

そして、迎えた当日朝。
くるみちゃんの剃髪。
ワタリドリ計画の武内明子さんが。
武内さんは、くるみちゃんの後頭部の扱いにとても慣れています。
それがわかるサイトはこちら。くるみちゃんの「後頭部ビジネス」。

当日は、美術館で年2回開催している「アートフリマ」というフリーマーケットのイベントも同時開催でした。
そのため、美術浴の進行にあまりスタッフも割けず、裏方もほとんどお手伝いできていません。つまり、裏の写真もほとんどありません。いや、裏どころか、肝心な小屋の中の写真も。
写真がないわけにもいかないので、協力を呼びかけて、数名の方から貴重な写真をご提供いただきました。もしこれをご覧になって、自分のも提供できるという方がいらっしゃったらぜひご一報ください。(以下、ご提供いただいた写真もとりまぜて記事にしています)

小屋の入り口には、スタートの10時からすぐお客さんがたくさん並んで列を作ってくださいました。学芸員山下が“もぎり”役として入り口を担当します。
ここで、4組の中から見たいアーティストを選んでいただきます。くるみちゃんが版画で作成した限定100枚のチケットに印を押して、お渡しし、お客さんが中に入ったのを見計らって、拡声器で「○○さんおねがいしまーす」と声をかけたのを合図に、中ではパフォーマンスが始まります。
「岡山直之さん、おねがいしまーす!」(山下)
「はーーーい!!!」(全員)
<岡山直之>

がらがらがら~
岡山さんの登場です。
切り抜いた窓の向こうは、美術館の縁側と接しています。
美術館建物の雨戸を、この窓の両開きのドアのように使って、始まりはがらがら~と開け、終わればピシャン!と閉じます。
小屋に接した美術館の縁側が“舞台”で、小屋は客席です。切り抜いた窓の扉が開くと、スクリーンが出てくる…と想像してください。出演者はスクリーンの向こう側で(縁側に立って)パフォーマンスを見せてくれます。
しばらく無言でポージングしていたかと思ったら、ちょい、ちょい、と手招きされます。

なに?チケット??
チケットを出したら、出したその手の甲に、金色の塗料をちょん、と塗られてしまいました。

おしまい~


「なにいまの~」
「おもしろい!」
※この方たちが見たのが岡山さんだったかどうかは不明ですが、目をつぶってください。なにせ写真が少ないもので
「藤原雅哉さん、お願いしまーす」
「はーーーーい!!!」
<藤原雅哉>

風神に扮しています。
ばさーーーーっと大きなビニール袋を窓から投げ入れて、大型扇風機でブオーーッと風を送ってビニール袋をふくらませています。藤原さん本人は、その中に入って、そして窓を乗り越えて客席に乱入してきます。

怖がる子ども、続出。
でもこの後は、藤原さんのサービス魂でいま人気のお笑い芸人のものまねだとか、ボーカルダンスユニットの踊りのまねだとか、お客さんを楽しませてくれた様子が、外のもぎりの席まで聞こえてきました。すごく楽しそうだった!
そして、書き忘れてならないのは、このパフォーマンスを支える小道具大道具を動かしているのは、ほかのアーティストたちだということです。扉の開閉はもちろん、藤原さんのビニール袋を支えるのも、また終わって窓から引きずり込むのも。だから、指名されたのがほかの人だからと言って、裏で休んでいるわけでは、ないのです。ずっと、役目があったはずです。

終了後、学芸員山下がこんな風に言ってました。
「いやー、今にして思えばさ、お昼に30分休憩ですとか、午後も2時だか3時だかに30分休憩ですとか、した方がよかったのかなとか、思うんだよねー。きっとみんな大変だったと思うよ。トイレも行くひまなかったんじゃないかな。でも、お客さんがぜんっぜん途切れなかったもんねー。待ってる横で『30分休憩しまーす』とかって、言えない…しさ~」
アーティストのみなさん、ありがとうございます。
「ワタリドリ計画、おねがいしまーす」
「はーーーーい!!!」
<ワタリドリ計画>

がらがらがら~
あれっ?くるみちゃん?
「こんにちはー、ワタリドリ計画は、小国百面相です!このメニューの中から好きなものをお選びください」
1、ジャージー牛に追いかけられる顔
2、ジャージーソフトを食べる顔
3、小国の温泉につかる顔
4、小国名産大根おろしが辛かった顔
5、善三美術館20周年記念顔
この5つの中から選んでもらい、「では、その顔でおまちくださーい」と指示を出してくるみちゃんは退場。

「こんにちはー、ワタリドリ計画です。似顔絵を描きます」と言って、二人が二人羽織状態に。「あー、かわいいお目めですね、大きな目ですよ。お口が笑ってますねー」麻生さんが特徴を伝えて、後ろの武内さんが手を前にまわして筆を動かします。

さあ、できましたよー
…と、描いた似顔絵を、本人に渡しておしまいです。
「若木くるみさん、おねがいしまーす!」
「はーーーーい!!!」
<若木くるみ>

くるみちゃん!
実は、くるみちゃんの登場前にワタリドリ計画の武内さんが、マイクを持って小屋に入ってきて、中のお客さんにインタビューするのです。
武内さん「お名前を聞かせてください!」
お客さん「「○○です」
武内さん「○○さんの、願いごとはなんですか!?」
お客さん「え、えっと…幸せになりたい、です」
武内さん「○○さん、しあわせに、なりたーーーい!」
「はーーーい!!!」

「○○さん、しあわせになれますようにーーー!!!」
横ではワタリドリ計画の麻生さんが太鼓を叩いたり、藤原さんが背景で金色のリボンをシャカシャカしたり。「フレーー、フレーー、○○さん!!」後ろの顔のくるみちゃんが赤のポンポンを振りまくって、勝手にお客さんを応援してくれます。最後はくるくる回りながら前の顔もちらりと見せてくれて、絶叫のうちに終了。

ひとつ見たら、また並んで別のアーティストも見ることができます。
ほとんどの人が、時間の許す限り何度も並んでいました。だから、列が途切れるなんて、ほんと全然なかったです。

何度も並んでくれた子どもたち。
「おもしれー!」
「次はだれにする?」

待ってる間も気になって、のぞかずにはいられない。
「ちらっと、すきまからこっそり見るだけなら、いいよ」と許してましたが、夢中になってついつい広く暗幕を開けてしまって…。麻生さんが出てきて「開けたらダメよ~。藤原さんの作品をちゃんと見てもらいたいから、開けたら明るくなりすぎてダメなんだ、ごめんね」と説明してました。
この子たちが、「小屋をこっそりのぞいたなあ、そしたらダメだって言われたなあ」っていう思い出を持って何かの拍子に思い出してくれたら、なんかいいな。

スタッフは終わってから最後にまとめて見せてもらおう、と言ってたのですが、結局かなわず。
でも10時から5時まで、全然休みなく、幕間もほとんどなくぶっとおしだったから、無理もありません。

(左から)岡山さん、藤原さん、ワタリドリ計画の武内さん麻生さん、くるみちゃん、ほんとにありがとうございました。お疲れさまでした!
呼びかけるたびに「はーーーーい!!!」ってみんなしてすごく大きな声で、子どもみたいに声をそろえて答えてくれてたのが、なんて言ったらいいかわからないけど、すごくよかったです。あたたかーい気持ちになりました。
この報告を待ってる人が多いようだから、本日休みの山下さんに見せないうちに公開してしまいます。後日手直しする箇所も出てくるかもしれませんが、とりあえず!いったん公開します!なんだかいつもと書くテンションもちょっと違ってるし気になるけど、お許しください。
そうでした、4組全部コンプリートすると、最後に「5回目スペシャル」という特別バージョンがあるのです。その時の写真は、これ。

最後はみんな出てきて、記念写真を撮ることができます。

ありがとうございました!
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追記。
美術浴、入場無料でした!

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